- アメリカン・スナイパー
- クリントイーストウッド
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誰かの伝記の映画化。アメリカの苦悩の一端が見える。見て楽しい映画ではない。クリントイーストウッドが得意なシリアス系。
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http://www.yomiuri.co.jp/culture/news/20150212-OYT8T50218.html
映画「アメリカン・スナイパー」…クリント・イーストウッド監督に聞く
2015年02月21日 08時15分
米軍狙撃手の葛藤と孤独、イラク戦争巡る議論起こす
イラク戦争で伝説的な狙撃手となった米兵の葛藤を描いた映画「アメリカン・スナイパー」が21日から公開される。
米国で戦争の是非を巡る議論も巻き起こしている新作について、クリント・イーストウッド監督(84)に聞いた。
原作は、米海軍特殊部隊「シールズ」(SEALS)の狙撃手で、イラク戦争で160人を狙撃したクリス・カイル氏の回想録。映画は、4度のイラク派兵で負った心の傷を抱えながら、家族との生活を守ろうとする狙撃手の苦悩を描く。22日(日本時間23日)に発表される米アカデミー賞では、作品賞や主演男優賞など6部門でノミネートされた。
「クリス・カイルは戦場での戦いだけでなく、内なる戦いも抱えていた。興味深いストーリーだと感じた」
イーストウッド氏は原作をこう評した。「愛する家族から離れたくなかったが、戦場で戦う友人や同志も守りたかった」という狙撃手の心境に共感し、監督を引き受けたという。
狙撃手は身を潜めて銃口を構え、孤独に耐えながら黙々と任務を遂行していく。米軍内で伝説的な英雄になっていくが、映画が際立たせるのは狙撃手の葛藤と孤独だ。イーストウッド氏は、「大半の戦争では、善悪を明確に区別することが難しい」と指摘。主人公の心境を「戦場と家族の間でも悩み、自身の行動に自信が持てなくなっていった」と解説し、「兵士は戦場で自分の行動を正当化しなければならないが、英雄となった者が必ずしも正義である必要はない」と説明する。
「少なからぬ人が『主人公は間違っている』と思うかもしれない。それでも構わない。見方は人それぞれだ」
実際、映画への米世論は割れている。保守派は狙撃手を英雄視し、その行動は愛国的だと称賛する。一方、リベラル派は戦争を美化しているなどと批判。戦争で病んだ米兵も描かれ、「この戦争は何だったのか」と改めて問う声も上がっている。イラク戦争の是非を巡って米世論は対立したままで、この作品の映画評にも根深い「分断」が投影されている。
2部作「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」(ともに2006年)で硫黄島の戦いを日米双方の視点で描いたイーストウッド氏の新作には、イラク戦争に対する米国内の様々な価値観や視座が織り込まれている。「何が正しかったのか」さえ不明確なイラク戦争の本質を突き、観客に問いかけてくる作品だ。(ロサンゼルス 加藤賢治)
2015年02月21日 08時15分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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